膀胱や尿管、腎臓など尿の産生に関する診療科
泌尿器科は膀胱や尿管、腎臓といった尿の産生に関する臓器を専門に扱う診療科です。これらに加え、男性の生殖関連臓器(精巣や前立腺など)に生じた病気の診療も行います。泌尿器の病気にかかると、性器付近などデリケートな部分に症状が現れることが多いので、恥ずかしさから受診を控えてしまう方もいらっしゃるようです。しかし、単なる経過観察のみでは病状を悪化させるだけです。痛みなどの不快な症状を我慢することなく、すみやかに泌尿器科を受診することが大切です。
- 尿検査異常のときも当院を受診ください
- 泌尿器系の病気になると、尿の中に血液や蛋白が混じってしまうことがあります。健康診断(尿検査)で尿潜血や尿蛋白などの異常を指摘されたときは、すみやかに当院を受診ください。
泌尿器科の主な疾患
血尿・尿潜血
血尿・尿潜血は、尿中に赤血球が混じっている状態です。このうち、肉眼で確認できるものを「血尿」、肉眼では確認できないけれど血液が含まれているものを「尿潜血」と呼んでいます。いずれの場合でも、尿の通り道(腎臓、尿管、膀胱、尿道)に何らかの異常が起きている可能性があります。とくに治療の必要性がないケースもありますが、泌尿器系の癌などが隠れていることもあるので、きちんと泌尿器科を受診し、原因を明らかにしておきましょう。
尿蛋白
健康な方でも微量ではありますが、尿中に蛋白質は含まれています。しかし、その量が一定量以上排泄されている場合は「蛋白尿」となります。そもそも腎臓は血液を濾過して尿を作り出す機能があるのですが、蛋白質は尿中には排出されず、血液の中に再び戻るようになっています(健康な人の場合)。ところが、腎臓や尿管に何らかの異常(急性腎炎、慢性腎炎、腎盂腎炎、ネフローゼ症候群 など)があると、血液に戻らずに尿として排泄されてしまうのです。蛋白尿は激しい運動などで生じることもありますが、病的な蛋白尿であるケースも少なくないので、原因をしっかり調べる必要があります。
頻尿・夜間頻尿
頻尿は、排尿回数が異常に増加している状態です。そもそも排尿回数というのは個人差が大きく、年齢や季節変動、水分の摂取量などに左右されます。そのため、一概には判断できませんが、日中の排尿回数が常に8回以上あるという場合は、頻尿が疑われます。また、夜間頻尿は就寝中に排尿したくなり、トイレに行ってしまう状態です。通常は、就寝してから起床するまでの間に排尿によって1回以上起きたという場合を意味しています。夜間頻尿が続くと患者さまの生活の質(QOL)が低下します。そのようなときは、泌尿器科を受診するようにしてください。
尿管結石
腎臓から尿道までの尿路に結石が生じる疾患です。腎臓内で作られた結石は、腎臓内にとどまっている限り、あまり目立った症状が現れません。しかし、結石が尿管に移動して尿管などを詰まらせてしまうと、背中の辺りが激しく痛み、吐き気や嘔吐を伴います。夜間に痛みが強まり、病院に救急搬送されることもあります。結石の成分にもよりますが、過去に尿路結石の指摘を受けた方は定期的に受診し、結石の増大を予防することが大切です。
腎癌
腎癌は、腎臓にできる悪性腫瘍のうち、腎実質の細胞が悪性化したものです。主に50~60歳以降の男性に好発しやすいのが特徴で、高齢になるにつれてそのリスクは高まるようになります。腎癌の初期段階では、目立った症状がほとんどみられません。そのため、中高齢の方は定期的に人間ドックを受診しておくことが大切です。なお、癌が進行すると、発熱、体重の減少、倦怠感、貧血といった症状のほか、肉眼で確認できる血尿、腰背部の痛み、腹部の腫瘤、足のむくみなども現れるようになります。
膀胱癌
膀胱癌は、尿路(腎盂、尿管、膀胱)に発生する癌のなかで最も死亡数が多く、7割以上を占めます。罹患数でも膀胱癌が一番多いのですが、膀胱鏡検査を行えば、ほとんどは診断がつきます。女性よりも男性の罹患率が高く、とくに喫煙者は注意が必要です。当院では軟性膀胱鏡を採用しており疼痛の少ない検査が可能です。
夜尿症(おねしょ)
夜尿症は、5歳を過ぎてもおねしょが続いている状態です。具体的には、5歳になってから月1回以上のおねしょが3ヵ月以上みられている場合を意味しています。一般的には成長するにつれて治まっていくものですが、小学校低学年の児童の1割程度は夜尿症に悩んでいるともいわれています。あまり深刻になりすぎなくてもよいのですが、膀胱や腎臓などに器質的な異常が潜んでいることもあるので、まずは泌尿器科を受診されることをお勧めします。
なお夜尿症の主な原因としては、「夜間尿量の増加」と「夜間膀胱量の減少」があります。前者の場合、就寝中に産生される尿量が通常よりも増加することで漏出するようになります。したがって、夜間尿量を減少させるためのお薬を使用することで症状が改善します。後者の場合は、膀胱に貯蔵できる尿量が通常よりも少なくなってしまうことが原因です。したがって、夜間の膀胱容量を増やすためのお薬を使用します。さらに、尿漏れをブザー音で知らせてくれる夜間アラームも効果があります。
性感染症
性感染症とは、性的な行為によって感染する病気の総称です。ここでいう性的な行為は、性交だけでなく、オーラルセックスなどの広い範囲の性行為(粘膜接触)を含みます。以前は性風俗店などにおける不衛生な性行為による感染が多かったのですが、最近は、不特定のセックスパートナーとの性交渉や性の多様化などにより、ごく一般に広まっています。
主な性感染症としては、淋病、クラミジア感染症(非淋菌性尿道炎)、梅毒、性器ヘルペス、尖圭コンジローマ、カンジダ、エイズなどがあります。下記のような症状がある方や、パートナーが性感染症にかかっている方は、お早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。
- 性器などに硬めのしこりができた
- 微熱が続いている
- 尿道などから白い膿が流れ出てきた
- 排尿時の勢いがなくなり、残尿感もある
- 排尿時に痛みや違和感がある
- 身体がだるく、気力が湧いてこない
- 性器や皮膚などの粘膜に湿疹や潰瘍が出来た